「日本語教育システムを世界に広めたい」プロジェクト

動画撮影風景

動画撮影風景

日本語の「何を、どうする」という語順は、印欧語の「どうする、何を」の語順よりコンピュータのプログラミングに適している”と提唱している慶応大学名誉教授がいる。そして、その教授の高校の後輩が開発した「日本語を”最短12日間”で、最低限の実用会話と日常会話ができるようになる」というメソッドがある。このプロジェクトは、教授の「彼女の開発した日本語教育システムを世界に広めたい!」熱い思いから始まった。そして、教授と教授の仲間2人と私、男ばかり4人でこのプロジェクトは立ち上がった。プロジェクトは右往左往しながら、ようやく1ヶ月前から動画制作が始まるところまで来た。

「全世界に広めたい」というキーワードから、私たちは、世界最大級のオンライン学習プラットフォーム「Udemy(ユーデミー)」を利用することを決めた。ユーデミーには、動画の内容と音声と映像の質が求められた。私たちは、ユーデミーの品質基準をクリアできる動画を制作しなければならなかった。

幸運だったのは、仕事仲間に動画のプロO.W.ガレージ・大木貴博さん”がいたことだった。大木さんの最優先のアドバイスは「音」だった。私はアップルやAmazonのPR動画のような、画像が明るくて、楽しそうな動画にしたいと思った。動画は、オンライン学習用の先生が黒板を背景に講義している映像。カメラは固定でズームもしない、室内での撮影と一見簡単そうに思ったが、実はそうではなかった。

撮影用のビデオカメラは、所有しているソニーのハンディカム。バカチョンのビデオカメラ付属のマイクは、今回の撮影に適さなかった。大木さんのアドバイスで、ピンマイク(ソニーワイヤレスマイクロホンECM-AW4 )1.7万とLED照明( UTEBIT CN-160ビデオライト 2.6千)をAmazonで購入した。

私は早くこのプロジェクトで何か成果物を作り出したかった。先生は女性なので、メンバーと相談してヘアメイクを手配した。これがよかった。紹介いただいて手配した女性のヘアメイクは、現場経験が豊富で彼女の人柄もあって撮影現場が明るくなった。そして、撮影前のメイクの時間は、それぞれが気持ちを整えるいい時間だった。

最初の撮影に、大木さんが立ち会ってくれた。先生のパソコンを42インチの液晶テレビにつないでスライドを映した。ハンディカムを三脚に設定してモニターで見てみると、液晶テレビの画面にいらつくノイズが出た。蛍光灯の影響で起こるフリッカーという現象だった。

大木さんがシャッタースピードを自動から手動設定に切り替え、100分の1に設定するとフリッカーが消えた。シャッタースピードを手動設定ことで、次に問題は起きた。映像が暗くやや黄色になってしまった。ホワイトバランスの設定だった。こちらも設定を自動から手動に切り替えて設定すると、映像の色はよくうなったが再びフリッカーが出た。プロ用とバカチョン機の違いだった。現場起こった素人では想定外の様々な問題を、プロが直ぐに解決してくれた。

撮影が終わると編集作業だ。これは私が独りでも出来る仕事だ。今回の編集ソフトはユーデミー推奨の「カムタジア」を使うことにした。カムタジアは良くできていた。音のノイズを消すのと字幕が入れやすかった。これだけでも編集時間を減らすことができた。こうして、1回目の撮影の動画が出来上がった。インターネットに上げてメンバーに見てもらった。このレベルではユーデミーの審査に通らないと誰もが思ったが、私たちで撮れるという手応えがあった。そして、次の改善点もはっきりした。

2回目の撮影は、映像を明るくするために、天井の蛍光灯をLEDの白色の強いものに変えた。大木さんがワイアレスマイクにピンマイクを付けると更に音が良くなるという情報をくれた。オーデオテクニカのピンマイクをつけた。字幕が入るスペースを考慮してテレビの下に黒色のボードを貼った。先生もスライドの文字の大きさを調整していた。1回目よりはよかったが、映像の明るさが出なかった。

3回目の撮影は、カメラを一眼レフカメラに変えて撮った。今、流行りの撮り方でもある。メンバーみな撮影に慣れてきて、コミュニケーションもよくなってきた。先生も笑顔とカメラ目線が増えた。メイクさんも化粧を微妙に変えてた。撮り方も編集のことを考え「カット!」を大きい声で出すようした。

プロジェクトが具体的に動き出し面白くなってきた。みんな乗ってきた。絞りF14、ISOは10000、シャッタースピードは100、これが今回たどり着いたニコンの一眼レフカメラ(D750)で動画を撮る設定だった。このプロジェクトは、綺麗な動画を撮るのが目的ではなく、「先生の日本語教育システムを世界に広める」こと
なのだ。

私は日本人として生まれたことに誇りを持って、このプロジェクトを進めて行きたい!
(文責:中島正雄)