その人の実力は友だちの数で決まる

「その人の実力は友だちの数で決まる」と言ったのは「ハガキ道」の創始者・坂田道信さんである。2006年にコンピュータリブで社内向けの講演をしていただいたときの話。ここでいう”友だちの数”とは、Facebookの”友だち”とはちょっと違って、実際に会って話したことのある人のことだ。坂田さんは、毎日、複写でハガキを30枚書き、年賀状は2万枚書くだけあって、全身から放つオーラと話す言葉の一つ一つに重みがあった。私はそれ以来、仕事でピンチが訪れると坂田さんの言葉を思い出すようになっている。

講演の中で坂田さんは「日本人は古くから友だちづくりは躾(しつけ)で残した」という。日本人の躾の三原則は、一つ目は「あいさつ」、二つ目は「返事」、そして三つ目は「はきものをそろえる」という。昔は見合い結婚が多かったから、見合いの相手が玄関で靴をそろえてぬいであったらOKだった。はきものをそろえるということは、約束を守るということ、そして財布の口が固いということ。今の人はどれもできないから、友だちができないのではないだろうか。親としてこの躾を教えることができたら、親の役割は9割以上終わったといわれた。

続けて坂田さんは「いくやお金があっても、友だちは手に入らない」「お金で手に入らないものは、それを得意な友だちを知って入れば手に入る」という。ポチッと押すだけでできる友だちは、本当の友たちはではない。人付き合いが希薄なのも、親の躾が原因なのかもしれない。これはなにも若者だけに言える話ではない。

私は坂田さんの話から何を学んだのか。私は「友だちに売る」ということを考えた。お客さまとは末永くお付き合いしていきたいから、まず友だちになってから商売を始めることにした。お客さまの遠い近いに関係なく、まず会いに行く。仕入先も同様の考えで、大事なお客さまへのサービスを見も知らない人(会社)に頼めなかった。

どんな商売もお客さまがいないと成り立たない。お客さまには、一見(いちげん)さんと常連さんがある。一見さんは、面識もなく初めて来てくれるお客さまのことで、まだ友だちの関係とはいえない。常連さんは私たちのサービスなり商品を何回も繰り返し買いに来てくれるお客さまのことで、友だち関係といえる。友だちを増やすことができれば、商売を永く続けることができるのではないかと考えた。

お客さまを飽きさせないで、また戻って来てくれる工夫が必要である。目先の利益に走らずに、どうすればお客さまにもっと喜んでもらえるかを考える必要がある。選択肢が多様化した時代に選ばれ続けるというのは、実に大変なことだ。

そこで重要なのは、お客さまの名簿だ。顧客名簿とかアドレス帳とか連絡先ともいう。手帳の後ろの付いている名前と住所と電話番号の基本的な情報に、自分なりの情報を付け足した名簿が必要だ。商売が上手く行かなくなりかけているときは、名簿がきちんと整理されていない場合が多い。整理されていない名刺が山積みになっていたり、あちこちにいろんな名簿、会社用とか個人用とか○○用などが散乱したり、出した郵便物が戻って来たりするのがその兆しだ。お客さまは友だちなので、名簿は分けないで一つにするのががいい。

例えば、名簿にお客さまの会社の決算月が入っていたらどうだろうか。名簿を決算月順に並べ替えて、決算の3ヵ月前にお客さまが得をする提案ができるかもしれない。名簿に誕生日が入っていたらどうだろうか。何気なく誕生日の前の日に会いに行って、おめでとうを伝えらたよろこばれるかもしれない。会社の設立記念日が入っていたらどうだろうか。創業社長なら設立記念日を覚えていてくれいていたら、うれしいに決まっている。

私は長年使い続けていた名簿をインターネット対応に新調した。これには少し勇気が必要だった。名簿はインターネット上に、つまりクラウドに保存することにした。そうすればいつでも、パソコンでもスマホでも名簿を見ることができる。思いついたときすぐに、名簿をいろんな項目で並べ替えて見ることができる。お客さまが喜びそうなことが思い浮かぶ。一人のお客さまに思い浮かぶと名簿にある前後の友だちにも連鎖してあの人も、この人も、といういうように広がっていく。友だちが喜ぶ顔を想像しながら、名簿を見るのは実に楽しい。名簿は重要だ。

さて、去年の結婚記念日はどう過ごしたか覚えているだろうか、去年の誕生日のプレゼントを覚えているだろうか、お客さまを喜ばすには、まずは身内を喜ばすことができなくてはならないだろう。友だちが喜びそうなアイテムを思いついたときに、直ぐに名簿に入れておくのがよさそうだ。今回は自分を戒めて書いた。 (文責:中島正雄)

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