ギラデリ

「GHIRARDELLI」はギラデリと読む。アメリカの西海岸・サンフランシスコにある有名なチョコレートの名前である。チョコレートというと私は幼少のころ、母の御使いに付いて行って不二家の傘の形をしたパラソルチョコレートを買ってもらうのがうれしかった。運よく買ってもらったときは家に帰るまで、パラソルの先端が折れてしまわないかといつも心配だった。急いで食べて鼻血を出したときは、母に叱られた。幼稚園の友だちのジュン君の家に行くと、銀紙に包んである外国の小さい三角形のチョコをもらった。今思えば、それはハーシーズのキスチョコだった。爪を立てチョコレートに銀紙が残らないように慎重にはがすと、外国の匂いと味がした。春休み旅行に行った友だちから、お土産にGHIRARDELLIのチョコレートをいただいた。旅行先はサンフランシスコだとわかった。

私が初めてサンフランシスコに行ったのは1996年11月のことだった。マネジメントゲームの開発者・西順一郎先生が企画した世界最大のコンピューターショー「COMDEX Fall ‘96」視察ツアーだった。1996年というとパソコンブーム全盛期で、個人用のデジタルカメラが出始めたころだった。  COMDEX(コムデックス)は2003年まで、毎年11月にラスベガスで開催されていた。西先生の企画は、ラスベガスで展示会を視察→釧路からシリコンバレーに進出していたサンエス・マネジメント・システムズ宮田昌利社長の講演→グランドキャニオン観光→サンフランシスコに移動→シリコンバレー地区の視察(特にスタンフォード大学とゼロックスパロアウト研究所)→サンフランシスコ観光だった。西先生と一緒に行く視察旅行は、いつも知的で楽しい。地図好き、歴史好き、人間好きの西先生のツアーは、その企画力とサービス精神が旺盛で、いつも感動させられた。その旅行で知り合った宮田社長とは、おかげさまで今でもお付き合いがある。

西先生は旅行中、飛行機に乗ると必ず耳かきを取り出す。その後は案の定、耳が痛くなる。サンフランシスコは西先生が大好きな都市の一つだと思う。私は、西先生がホワイトボードにアメリカ西海岸の地図を描きながら行うパソコンの歴史の講義が好き。サンフランシスコは右手の指でOKのサインをしたときのちょうど親指の爪の部分にあたる。親指の第一関節の辺りがシリコンバレーと呼ばれる地域である。シリコンバレーの中心にはスタンフォード大学があり、その周辺に名だたるIT関連企業が立ち並ぶ。シリコンバレーからサンフランシスコの市街地まで、車で片側4車線の国道101号線(ワンオーワン)を北に走ってほぼ一時間というところである。

西式の旅(視察)のパターンは、まずその都市の大きな大学に行く。なるべく公共交通機関を使い歩いて行く。そして、周辺の街並みを見て、街の匂いを嗅ぐ。キャンパスを歩き、図書館に入る。生協でコーヒーを飲む。サンフランシスコの場合はUCバークレー校だった。ホテルのあるダウンタウンから地下鉄BART(バート)に乗って行った。アメリカで地下鉄に乗ると聞くとドキドキした。日本の照明が明るすぎるのか、どこも薄暗かった。次は、車をチャータして巨大な木の森「ミュアウッズ国定公園」に連れて行ってもらった。あんな大きな木を見たのは初めてだった。一日に沢山の初めてを体験させていただき、西先生が神様にみえた。帰りに西先生が「僕の好きな日本でいう江ノ島のようなところに行こう」と言い、サウサリートという街に寄った。後に、私はサウサリートにテッド・ネルソン氏が住んでいることがわかり、会いに行った。最後は有名な観光名所「ゴールデン・ゲート・ブリッジ」を渡り、「ツインピークス」を通りホテルに戻った。ツインピークスからはサンフランシスコのダウンタウンが一望に見わたせた。そこは、逗子の披露山にある高級住宅街のようだった。  次の日は、坂道だらけのサンフランシスコの市内を走る路面電車「ケーブルカー」に乗り、映画やCMの舞台として用いられる世界で最も曲がりくねった坂道「ロンバート・ストリート」に行き、そのまま坂を下り海まで行った。フィッシャーマンズ・ワーフに行き、丸い大きいパンをくり抜いて皿にしたクラムチャウダースープを食べるのが定番なのだ。

私の旅のパターンは、それからというもの西式である。西先生に教えていただいたサンフランシスコのコースもその後何回も復習に行った。なんでもそうなのかもしれないが、同じコースでも毎回気づくことがあるし違うものだ。そして、本やホームページで見て知っていることと、現地で実際にこの目で見たこととは違う。  フィッシャーマンズ・ワーフからホテルのあるダウンタウンに帰るためにケーブルカーの駅を探す。駅に着いてサンフランシスコ湾を背にして右の丘を見ると「GHIRARDELLI」の看板がある。そうあのチョコレート工場である。(文責:中島正雄)

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