コンピュータはプログラミングなのだ

iPadは、アラン・ケイ氏が考える理想のパソコンを、スティーブ・ジョブズ氏が開発し世に送り出したコンピュータと言っていいだろう。ケイ氏は「パソコン」という言葉の生みの親である。

パソコンとはパーソナルコンピュータの略で、 1960年代当時は高価で大きく、複数人で“共有”するのが当たり前だったコンピュータ時代に、個人が持てるコンピュータという言葉を生み出した。

パソコンはインターネットが一般化されると、両方とも同じように機能も形態も急速に発展していった。そして、2010年、スティーブ・ジョブズ氏のアップル社からiPadが生み出された。ケイ氏の個人の理想のコンピュータというのは、“子供たちがプログラミングを学べる軽量タブレット”だった。ここで重要なのは”コンピュータはプログラミング”ということである。

ところ変わって日本では、千葉県の南の先端・館山にある葬儀屋のオヤジが考えたマイツールというパソコンがあった。
マイツールとはソフトウエアの名称でパソコン(機械)ではないが、当時は機械とソフトが一体となっていたのでパソコンという言い方をしていた。

マイツールは葬儀屋のオヤジが考えたのだから当然、金儲けに使われた。オヤジは地元の名簿を大量に入手しマイツールに入れた。そして、ビジネスになりそうなリストをコンピュータに作り出させた。そう、これがプログラミングなのだ。

そこに目を付けたのがマネジメント・ゲーム(MG)の開発者の西研究所・所長 西順一郎氏だった。西氏のモットーは「全員経営」、そして「楽して金儲け!」。彼を師と仰ぐ経営者たちに西氏は、コンピュータを教えた。社長が使えるパソコン、プログラミングができるパソコンは世界中探してもマイツールしかない。つまり、マイツールを買わせ、プログラミングを教えたのだ。

ケイ氏と西氏のコンピュータに対する思想が似ていると私は感じる。アメリカの計算機科学者のケイ氏は”子供たちのためのコンピュータ“と言った。

「人事屋が書いた経理の本」がベストセラーになった西氏は"長靴をはいて仕事をしている人にコンピュータを使わせたい"と言っている。コンピュータは一部の専門家の道具でなく、誰もが使える道具だと両者は初めから言っている。

西氏は“コンピュータは仕事に使う道具”と位置づけ、社長、社員にかかわらず全員がコンピュータを持ち、そして、それを操り仕事に活かすことで会社がよくなっていくと教えている。企業にコンピュータの導入を実施するとき、必ず言うのは「一気にやる、少なくても2台以上でやる」1台は絶対ダメで導入は失敗に終わる。

コンピュータが1台だと、使う人は一人である。2台あれば二人が使うようになる。二人が使うと使い方はそれぞれ違うから、見せ合いっこがはじまる。彼はあんなことやっている、こんなことが出来たと、そこから自然と業務の改革がはじまり出す。今まで見えなかった会社の中の情報が見えるようになっていく、そして、金儲けがはじまる。こういった事例を何件もこの目で見てきた。

4月14日、横浜駅から相鉄線で15分くらいのところにある駅ビル4階のコミュニティールームで、お弁当・お惣菜の製造・販売会社の35店舗の店長と会長、社長はじめ役員が集まり、月に一度の店長会議が行われていた。

そこでは、各店の店長にiPadが配られ、役員によりiPadの使い方の説明が行われた。“一気にやる、上もやる下もやる全員でやる!”の西式導入法だった。

35台のiPadでやることは売上の報告と商品の発注。今までFAXでやっていたことをiPadでやる。FAX時代の売上報告は、本社に届いた売上を担当部長が表計算ソフトに入力して全店の集計をして報告をしていた。部長はこの作業を休みのときも毎日やらなければならなかった。

iPad時代は、各店からクラウド上にある。
つまりはインターネット上にある売上報告表に35台のiPadから直接入力する。部長は入力も集計もしなくてよくなる。そして、クラウドを使っているので集計された全店の売上データを35台のiPadから見られるようになる。

FAX時代は他店の売上は月に一度の店長会議のときしか知ることができない情報だった。西式の法則によれば、35店舗の店長に新たな仕事の道具が与えられたことで、自然と業務改革がはじまりだすに違いない。

iPadだったら写真も撮れるし、動画も撮れる。そして、テレビ電話も出来る。今までエリアマネージャーがお店に行かなければ確認できなかったことが瞬時にわかるかもしれない。そうなれば行動が変わり、段取りも変わる。今までそこに使っていた時間と脳ミソを別のことに使えるのだ。iPadの一気導入でこの会社の会長が思っている効果もそこにある。

アラン・ケイ氏と西順一郎氏がいうコンピュータを使うということは、プログラミングが出来るということなのだ。今のiPadは、子供も、長靴を履いて仕事をしている人が使えても、そう簡単にプログラミングはできない。両氏はiPadをまだコンピュータと認めてないだろう。

(文責:中島正雄)

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