ネットの評判

いいモノを作れば売れるという時代は終わってしまったのだろうか。
百貨店が面白かった時代、各売場にはバイヤーとよばれる仕入担当者がいて、いつも良い商品はないか、面白いモノはないかとアンテナを張り、そして、情報が入ると現地に行き自分の目で見て、商品を買い付けていた。売場に目利きの商品が並べられている百貨店に行くのが楽しかった。やがて百貨店が巨大化していくと、百貨店はリスクを負って商品を買い付けなくなった。売場はメーカー任せになり、どこの百貨店に行っても同じような売場でつまらなくなり、モノは売れなくなっていった。

良くも悪くもインターネットがいろいろなやり方を変えてしまった。お客さまは、商品は百貨店のようなリアル店舗で見て、買い物はインターネットで1円でも価格の安いところを見つけて買うようになった。売る側も、集客にインターネットを使うのが当たり前になった。それは、百貨店ばかりではない。そんなインターネットの場に、わざわざ、お客がお店を評価する口コミを集めて掲載するサービスや、お客がお店に点数を付け評価するサービスが台頭している。見も知らない人の評価が、お店の集客を左右しているというのだからタチが悪い。売る側は、そんなネガティブな記事ばかり並べれているインターネットの口コミを見ると心が折れそうになるときがある。それでも、インターネットの口コミが売上を左右するサービスは、インターネット上の評価を気にしながら商売をしなければならない現状ある。

インターネットが変えてしまった業態はいろいろある。旅行業もその一つだ。私はインターネットでチケットを買うよりも、近くの旅行会社に行って、旅行のことなら私にお任せ下さいというお姉さんから買うのが楽しいし、なにより安心できる。でも、飛行機や電車のチケットを買うのはリアル店舗の窓口よりも、インターネットの方が安くて便利というから仕方がない。

旅行業のインターネットの世界三大予約サイトは、ホテルズドットコム、エクスペディア、ブッキングドットコムである。ホテルズドットコムとエクスペディアはアメリカの会社で、ブッキングドットコムはオランダの会社である。今は英語が話せなくても、インターネットで世界中のホテルの予約や航空券の予約ができる。私でも海外のホテルの予約ができる。窓口のお姉さんはどうなるのか。

またその逆もある。海外から日本のホテルにも予約が入る。
インターネットを予約に使い始めたころ、日本のホテルや旅館は大手旅行会社に振り回されていた。集客のため、電話で予約してくるお客さまよりも、大手旅行会社からの注文を優先しないといけなかった。もし、大手旅行会社からの注文がないと、土日なのに部屋が空いているというときもある。また旅行会社ごとに予約システムが違うために、自分の旅館なのにいったい今、何部屋空いているのか直ぐにわからなかった。よって、自社のホームページの週末はいつも「満室」というウソの情報を載せるしかなかった。そんな状況にイライラしている旅館の主人が何人もいる。

日本橋小伝馬町にある旅行会社、ベルテンポトラベル・高萩社長と雑談で聞いた話。箱根に豊栄荘という旅館がある。豊栄荘もそんな旅館の一つだった。自分たちは、お客さま喜んでいただこうと一生懸命に仕事をしているのに、日本のインターネットの口コミにはネガティブな記事ばかりが並んでいた。そんなとき、インターネットの海外の予約サイト「ホテルズドットコム」と契約をした。

箱根という地の利もあってか、欧米人からの予約が入るようになった。外国のお客さまがインターネットが無線でできるようにというような要望を一つ一つ改善していった。自分たちは、昔からしていたことが、欧米人の間で口コミで広がって行った。予約は欧米人で7割を占めるようになった。ポジティブ思考の欧米人は、日本人にとっては当たり前の部屋での食事や、そのときに仲居さんがご飯をよそってくれるのが最高のサービスだと評価してくれた。また、部屋に布団を敷く所作をアメージングと言って、動画を撮るほど喜んだ。

私たちもそろそろインターネットの使い方を考えて、変えてもいいのではないだろうか。見知らぬ人の口コミに踊らされることなく、真面目に仕事をしている会社や人が正しく評価されるときは必ず来る。そして、その日も近い。

私は、”やさしくデジタル”というのは、そういうことだと思っています。

(文責:中島正雄)

箱根 豊栄荘に入ったところ

箱根 豊栄荘に入ったところ

箱根・豊栄荘のロビーでデンマークから来たお客さまに英語で説明をしている様子。

箱根・豊栄荘のロビーでデンマークから来たお客さまに英語で説明をしている様子。

豊栄荘のエントランス

豊栄荘のエントランス

笑顔で対応してくれた木村さん。

笑顔で対応してくれた木村さん。

私たちが行ったときも、外国人のお客さまが多かった。

私たちが行ったときも、外国人のお客さまが多かった。

温泉旅館の施設内は英語表記もある。

温泉旅館の施設内は英語表記もある。

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