頼まれたら断れない方の性格だと思う。 半年ほど前から動画の編集を頼まれていた。私はテレビっ子だっただけのことあって、動画の編集は好きである。素人ながら、制作手順とそれにかかる時間も検討がついていた。約束の日まで2週間となり、尻に火が点きだした。
素人の動画編集は思った以上に時間がかかる。まずは道具だ。スマートフォンのアプリでいとも簡単に出来るようなことにもなっているが、BGMの曲やテロップの文字の大きさの調整などそれでは納得がいかない。だからと言ってプロ仕様の道具を使うというわけにもいかず、素人の動画編集は手持ちのパソコンでやることになる。
パソコンにはWindows(ウインドウズ)とMac(マック)があり、動画編集ソフトはアドビ社のPremiere(プリミア)とアップル社のiMovie(アイムービー)がある。もう一つアップル社のFinal Cut Pro(ファイナルカット・プロ)というのもあるが、これは素人の手には負えない。プリミアはWindowsでもMacでも使えるが、iMovieはMacしか使えない。どちらにするか迷うところだけど、私はMacでiMovieを使うことにした。決め手となったのは、作った動画をiPadで見せたいからだった。もちろん、Windowsでも同じことは出来るが、全制作工程をアップル社製で完結することで、より上手くできるのではないかと心のどこかで信じているところがある。
7年前の手持ちのMacではクリックするたび待ち時間が長く、とても編集作業などやっていられない。そこで一番安価なMac、Mac mini(マックミニ)を購入した。パワーが欲しかったのでRAMメモリを8GBに増設した。新しいパソコンの箱を開けるときは、いつもワクワクする。その箱を開けると、なんと中には本体と電源ケーブルしか入っていなかった。間違っているのではないかとホームページで確認したら、キーボードもマウスもDVDドライブもモニターとつなぐケーブルも全て別売りだった。二、三日考えて、結局全て購入し、Mac miniが動くまで10日くらいかかった。
今回依頼された動画は、次男の高校のバスケットボール部の卒業イベントの記念動画で、撮りためた写真や試合のビデオをつなぎ合わせて、BGMとテロップを入れてショートムービーにするというもの。見る人は息子の同級生の15人選手とその親に限定されている。3年間で撮りためた写真は1年間で約3万枚あり、それが3年分と、試合は1年分で1試合約1時間が20試合分あった。デジタルの恩恵で素人でもこれだけの枚数の写真を撮りためることができる。これから時間との闘いがはじまる。
道具の次は素材集めと整理をする。経験からこの工程がこれからの作業のカギを握る。時間かかかるものからはじめる。試合のDVDをパソコンで編集できる形式に変換する。使ったソフトはHandBrake。無料で使えるのがウソなくらいすぐれものである。次に写真の整理、構図がよかったりピントが合っているもの、なるべく横向きの写真を選ぶ。15人まんべんなく撮ってあればいいが、撮るときはそのようなことを考えてないから探すのに一苦労する。それに加えて各選手の幼少のころの写真が持ち込まれる。それは、スキャニングしてパソコンに取り込む。最後にストリーを考えながらBGMの音楽を揃える。この手の動画を見せるときはBGMが重要なのだ。使うBGMの組み合わせと長さ(時間)に合わせて、写真の枚数、動画の時間を決める。曲の終わりに映像もちゃんと終わらせると動画が締まる。
ここからが楽しい作業だ。この種のビデオは、子どものためではなく、親のために作っている。立派に、たくましく成長したわが子のを姿をみて、大変だったころを思い出し、子育てがんばったね!というメッセージを動画に込めたい。私のところに15人分の生まれたときを喜ぶ赤ちゃんのころの写真、綺麗な服をきさせてもらって撮った七五三の写真、ご馳走とケーキを前にした誕生日の写真、リレーの選手で活躍している運動会の写真などが集まった。その写真を整理していると、どの家庭もちゃんと節目に子どもの写真があり、アルバムに整理され、大事に育てられていることがわかる。私もオーバラップしてしまい思わず胸が熱くなる。
こうして素人のやることには無駄が多い。30分の動画に仕上げようと思っていたのに、出来上がったのは50分もある。動画には長さも重要で長い動画ほど最後まで見てくれない。素人の作る30分は見る方にとってはとても長いだろう。これから20分も削らないといけないが不可能に近い。削除は追加より難しい。
なんとか編集作業が終わったら、最後に書き出しという工程がある。これが上手く行けば動画をみんなにDVDにして配ることが出来る。失敗すると今までの苦労が水の泡になる。デジタル機器とはいえ、こういうときは神頼みしかない。Macに祈りながら書き出しのボタンをゆっくりクリックして仕上がりを待つ。
コンピュータの画面の向こう側には、何かを待っている人がいる。私はだからコンピュータが好きなのかもしれない。
(文責:中島正雄)
投稿者プロフィール

最新の投稿
お知らせ2022.07.062022年7月ニュース
WordPressベースのホームぺージ作成2022.06.16神前会計さんのホームぺージ作成のお手伝いができました
WordPressベースのホームぺージ作成2022.06.03ニフクラ(NIFCLOUD)サーバーでWordPressベース+常時SSL(無料)のホームぺージを作成しました。
お知らせ2022.03.0125期スタート