私が勝手に屋台のエキスポと呼んでいる平塚の七夕まつりの今年の屋台で目についたのは「ハンドスピナー」だった。今、子どもたちの間で流行っているらしい。シュリケンのような形で、サイズは手のひらに乗る大きさ。中心部を親指と人差し指で持ち、周りの羽根をはじくと回転する。ただ回っているのを眺めるだけのおもちゃである。祭の人混みで、ハンドスピナーを回転させて歩いている子どもが多かった。知らない私は、ハンドスピナーがスマホに変わる未来のツールのようにも見えた。
2045年、コンピュータの計算能力が全人類の知能を超えるという説がある。先日『〈インターネット〉の次に来るもの』を読んで、を2002年公開された映画『マイノリティ・リポート』をAmazonビデオで見た。『マイノリティ・リポート』は、2054年の世界を俳優のトム・クルーズ氏と監督のスティーヴン・スピルバーグ氏が長い期間をかけて構想し撮影するに至った作品だった。
スピルバーグ監督は2054年の世界を構築するため、哲学者、科学者、デザイナーらを集め「未来人」23人を組織し、建築、経済、政治など、あらゆる観点から2043年の世界を構築し80ページからなる「2043年バイブル」と呼ばれる本を作り、映画の世界観に矛盾が生じないように、スタッフと情報共有したという。そして、今、映画の『マイノリティ・リポート』の時代が確実に近づいていると実感する。
映画のシーンに出てくる、網膜や虹彩といった瞳を使った生体認証は、スマートフォンのロックシステムにも取り入れられるような身近な存在になりつつある。
2054年の街中の屋外・店頭・公共空間・交通機関などあらゆる場所で、瞳を使った生体認証で個人が特定されている。壁やウィンドウなどの空間にある「デジタルサイネージ(テレビのようなポスター)」が、個人向けに、まるで友だちのように話しかけてくるシーンがある。街には沢山の人がいて、周りの人に迷惑ではないのかと思うと、すでに遠くにいる特定の人だけに聞こえるように音を伝えるシステムは、すでに開発されているという。
映画の中で、組織に追われているトム・クルーズは、どこに逃げ回っても網膜スキャンで見つかってしまう。そこで、闇医者に両方の目の玉を移植してもらう。どこの誰かもわからない目玉の移植後、洋服を買いにGAP(お店)に入るシーンでは、店の入り口の壁に映し出された店員に「〇〇さま、いっらしゃいませ!」と言われる。当然自分の名前ではない。前の目玉の持ち主の名前だ。
街頭に設置された網膜スキャンと連動してデジタルサイネージは、前を通過する人を瞬時に特定し、クラウドにあるビックデータにアクセス、その人が、いつ、どこで、何を買ったか、最近はどんなホームページを見ているのか、どのメールに反応したのか、どのSNSの記事に興味を持ったのかなどの情報を分析する。そして、空間に映し出された定員が、私が興味のありそうな情報をちらつかせて近づいてくる。マーケット・オートメーション(MA)の進化形だ。
トム・クルーズは家に帰ると「Come House(帰ったぞ)」とつぶやく。すると、BGMとブラケットライトやニッチのところやフットライトが点く。「Overhead」とつぶやくと天井のライトが点く。「Wall screen」とつぶやくと壁一面に映像が映し出される。家には彼一人しかいない。一人しかいない部屋で家や家具に話しかけている。こうした、音声を認識する家具などもすでにある。
トム・クルーズが映画の中で乗っていた車は赤いレクサスだった。車の自動運転も現実味を帯びてきている。こうして、私たちは近づいてくる新しい機器たちと仲良く暮らしていかなければならない。(文責:中島正雄)

宇宙(イラスト:吉田稔美)
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