
飛行機の乗り方の手順も忘れていた。チケットはどうするんだった。カードなのかバーコードなのか。メールをプリントアウトして行ってよかった。手荷物検査場、ジャケットとコートを脱いで、鞄からiPadを出して、ここでもサクサクいかなかった。ここがスマートだといいよね。
飛行機に乗るときも、二つの紙、どっちの紙をかざせばいいのか戸惑ってしまうほどだった。席に着くとCAが「わたしが担当します」とあいさつに来た。へぇーこんなんだったかな〜と思いながら、鞄からiPadを出して、鞄を上の荷物入れに入れると、担当CAが飛んできて「お客さま離陸時にiPadは持てません」と言いに来た。あぁそういうルール、そこは素直にiPadを再び鞄の中に入れ、どうせなら飛行機の中では、デジタルガジェットを使わずに、アナログガジェットで行こうと決めてメモ帳と手帳と本を取り出した。
飛行機の機内誌を読むのも好きなのだ。写真の色使いやコラムの話題など、いつも素晴らしい編集だな〜と思いながらページをめくっていると、浅田次郎さんのエッセイがあった。機内に「ポーン」と音がすると、CAが飲み物を持ってくるサービスがはじまった。あっ、これは無くなっていなくてよかった。機内で飲むコーヒーも好物なのだ。新幹線のコーヒーも美味しいと思う。ワゴンが自分に近づいてくるとワクワクした。コーヒーを頼むことは決まっているのだけれど、一応出されたメニューを2秒くらい見て、やっぱりコーヒーを頼んだ。ここでもスマートにできなかった。わたしにコーヒーを渡したCAが「その胸のワッペン気になります」と言った。”うれしい”こと言うじゃない思っていると、2秒後にCAが「やさしくデジタル」と言った。
わたしの勝負服のBDシャツの胸には、ワッペンが2つ着いている。地元のコワモテの刺繍職人が入れたワッペンなのだ。左の胸には創業以来共に歩んでいるわが社のキャラクター「リブくん」が、左の胸には3×3のマスに文字で「や・さ・し・く・デ・ジ・タ・ル」と”わが社のモットー”の文字が並んでいるワッペンなのだ。刺繍が仕上がりシャツを受け取りに行くと、コワモテの刺繍屋の親父は「これはあなたにとって特攻服だからな」と言って渡された。普通のBDシャツに親父が気も一緒に入れてくれている。だからここ一番というとき、わたしはこの刺繍入りのBDシャツを着る。
女性が可愛いと言えばキャラクターの方だと思っているのは男性の脳なのかもしれない。3×3のマンダラに書いた文字が女性の目に止まるのも、マンダラのパワーに違いない。その後、着陸までCAさんと会話をすることはありませんでした。さあ!帰りは鞄を軽くして帰りたい。
(文責:中島正雄)
投稿者プロフィール
